FOMOという魔物

一通りのイベントの振り返りは終わったので、これから少しずつMBA中に感じたことを振り返りを兼ねて綴っていきたいと思います。

初回はFOMOについてです。

日本にいる時はこの言葉を聞くことはあまりなかったのですが、FOMOとはFear Of Missing Outの頭文字をとった単語です。

直訳すると「見逃したり取り残されたりすることへの不安」となりますが、これを「隣の芝が青く見える問題」と自分の中で定義しています。

MBA中はキャリア設計や時間の使い方、友人関係含め、すべて自分の好きなように行動できます。

もちろん行動したからといって、自分が望む結果が得られるとは限りませんが、少なくとも自分次第で方向性を決めることができます。

ここで直面するのが、自分の取らなかった選択肢がより魅力的に見える局面があるという問題です。

具体的な例では、自分と異なるインダストリーに進む同級生や、起業した知人のキャリアをうらやましく思ったり、些細な例では同級生同士のパーティーや旅行の写真を見てうらやましく思ったり、、

こうした状況は日常茶飯事に発生するため枚挙に暇がないのですが、ここでは特にキャリアに絞って話を進めていきたいと思います。

このFOMOという魔物は、自分がうまくいっていないときや周囲の成功例などを耳にした時に頻繁に出現します。

MBAという環境に身を置くと、世界中から優秀でバイタリティーにあふれる人に囲まれ、自然と周囲の輝かしい功績やサクセスストーリーを聞く機会が多くなります。

前述したように、MBA中はすべて自分の好きなように行動できるため、自分も望めば同じような結果が得られるのではないかという、壮大な勘違いをすることがあります。

特に、身近でそうした人を見ると自分にも手が届きそうな気がする、というのが勘違いをする要因だと理解しており、基本的に勘違いであることに間違いありません。

それでも他人をうらやましく思う気持ちがFOMOという形で時折出現するため、2つの大事な視点を忘れないようにしています。

①この世にパラレルワールドはない

当たり前の話で時間、金、エネルギー、どれをとっても有限です。

誰かのキャリアやサクセスストーリーに憧れ、それを目指すことはできますが、その場合、今自分が突き進んでいる道をあきらめる、乃至は放棄する必要が出てきます。

最初は副業から、という手段もあると思いますが、そうした成功者がそんな中途半端な取り組みでそこまでの高みに到達しているとは考えにくいです。

自分が考え抜いて選んだ選択肢と比較し、本当にそちらの道が自分にとって魅力的なのか、自分のなりたい姿なのか、自分の胸に手を当ててみると、うらやましいという気持ちはなくなり、FOMOという魔物が消えることがあります。

それでも尚、その選択肢をとりたいと思う場合、真剣にそれを検討する必要がありますが、多くの場合一過性です。

②他人の人生の再現性はない

表に出てくる話は基本的に上手くいった結果の話だけで、その裏にはそれぞれの人生やドラマがあります。

結果だけを見てしまいがちですが、その人が死ぬ気で毎日取り組んだ結果で得られた功績であり、そんな簡単にまねしたり追いつけるものではありません。

その人なりのこれまでの積み上げ、強み、幸運を味方につけてそこまで到達しているわけです。

どんないい結果も、これをやれば成功できるとか、そんなシンプルな方法論はなく、それぞれの人生の積み重ねが結果として表面化しています。

なぜかそれを見過ごして、自分もまねできるのではないか、という壮大な勘違いをすることがあります。

自分の人生やキャリアを他人が簡単にマネできるだろうか、と思いを馳せてみると如何に他人のそれをマネするのが困難であるかが容易に想像がつきます。

逆に割とマネできそうということであれば、自分の人生をもっと深みのあるものにしないと、キャリアについては代替性のある人材ということになるかもしれません。

このあたりのマインドセットは海外に留学し、これまでとは全く異なる環境に身を置いたことで、自分の思考に大きな変化が生まれた気がしています。

日本にいる時は自分の中でビジネスパーソンとして目指すべき姿がある程度確立され、その固定観念に縛られていました。

大企業でサラリーマンをやっていたため、自分の身近な上司に憧れ、そうした人をロールモデルとして自分の振舞いを決めることが多々ありました。

そこから大きく方向転換をし、今では「独自性を貫く、競争を無効化する」というのがテーマになっています。

ただ独自路線を行ったとしても、少しでも気を抜くと後から追いかけてきた優秀な人に秒で追い抜かされます。

自分の強みをよく理解し、それを発揮しつつ、毎日目の前のことに全力で取り組み続けることで、自然とその人のエッジが磨かれていき、気づくと高みに到達していた、というのが理想形かなと思っています。

究極、自分の人生もキャリアも自己満です。高みを目指すことがすべてではないですが、誰よりも熟考した上で自分の決断を信じるのがベストであり、一番後悔の少ない意思決定だと信じています。

アメリカでフルタイムで働き始めると、思考が再び変化する可能性があるため、その際には改めて文字に起こしたいと思います。

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