リスクへ許容度
Risk, Word, Letters, Boggle, Game

人生やキャリアを考える中で最近感じていることなのですが、今回は如何にリスクをとれるかが重要なのではないか、という話です。

人生における幸せやキャリアで成し遂げたい、重要なことは十人十色であることは当たり前で、MBA界隈では有名?なギリシャの漁師の話(知らない人は最後に付けた引用部分を読んでみてください)もありますし、とにかくでかいことを成し遂げたい、めちゃくちゃ稼ぎたい、など人それぞれだと思います。

僕の場合、自分が重要だと思っていたことがMBA中の経験や一人で考える時間を通じて変化を繰り返しており、留学前と今では正直全然違っています。

安定を求める場合にはリスクを取る必要は全くなく、むしろ社費で留学しておいた方がよかったという結論になりかねませんが、今のところ社費にすればよかったと思ったことは一度もありません。

これは金で買えない価値があると心の底から思っているからで、私費生だから得られる就活の機会とかそんな表面的なものだけでなく、頼れるもの、帰る場所がない状態になるとより自分の感性が磨かれる気がしています。

僕は自分に甘く、どこか拠り所があるとそれに頼ってしまうところがあるので、自分を追い込む意味でもよかったと思っています。

これも人それぞれ価値観や置かれている状況が違うので、何が正解というものではないですが、僕自身は全く後悔はありません。

少し本題と逸れてしまいましたが、リスク許容度の話でいくと、世の中には優秀な人がたくさんいて、こりゃ敵わんなと思う人がたくさんいます。

アメリカのトップスクールなんてきたものなら、世界中から優秀な人が集まっており、毛並みが違うというか、血筋が違うというか、そんな人ばっかりに出会います。

そうなると頭脳で勝とうなんて甚だ僭越であり、また時間をかければなんとかなるという、今までの気合根性戦法に限界が見えてきていたりします(そりゃ寝ずにやればなんとかなるかもしれませんが、僕の持っている能力と冷静に向き合うと、それでもようやくそのあたりの優秀な人に追いつけるかどうかというところです)。

じゃあどうやってそうゆう人たちと違う形でバリューを出していけるのかというと、真っ当なエリート街道を歩んでいる人だとちょっと躊躇するようなリスクを積極的にとりに行く、そうした中で得られる経験を糧に自分のエッジを磨いていく、それしかないんじゃないかということを最近考えていたりします。

とはいえなんでもかんでも無手勝流にリスクを取ればいいというものではなく、自分なりの勝ち筋やバックストップを持ったうえでリスクを取ることが肝要だと思ってます。

自分の生活が不安になると、おそらく日銭を稼ぐことに必死になって大事なものを見失ってしまうのではないかと思ってます。

単身で失うものが何もなく、何でもリスク取れる状況をどうレバレッジできるのか、日々模索しているところですが、読んでいただいている方に何か面白い報告ができればいいなと思っている次第です。

最後にギリシャの漁師の話をつけておくので、興味のある人は読んでみてください。

=Quote=

ギリシャのある小さな島に、1人の漁師がいた。


 男はまだ暗いうちから起き出して、波打ち際を歩くのが好きだった。
波しぶきの音を聞きながら、少しずつ明るくなる水平線を見渡すと、どこか自分という個の存在を超えた、自分が生まれるずっと前の雄大な歴史を感じることができるような気がするのだった。
 男は毎朝、海に出て、仕事をした。子供の頃から海に出ていたから、船の上が自分の本当の家であるかのように感じていた。網を持って魚たちと真剣勝負で向かい合うのが、何よりも好きだった。大量の日もぱっとしない日も、海はいつも、彼に多くのことを教えてくれた。
 漁から戻るのは、いつも昼過ぎだった。彼は浜辺で仲間たちとその日の収穫を焼いて食し、残りの魚を小さな市場でわずかなお金と引き換えに売り、そのままフルーツや野菜、必要なものを買って、丘の上の小さな家に帰るのだった。
 家に帰ると、家族が彼を待っていた。やんちゃな子供たちと外に出て遊び、食卓を囲んで彼らの1日の冒険話に耳を傾け、寝静まったあとで、テラスに出て妻と酒を飲むのが日課だった。

 ある日の午後、彼のもとを1人の若い男が訪れた。
 この島には不釣合いのダークスーツを着たこの男は、アメリカのハーバード・ビジネススクールという学校を卒業したのち、名門投資銀行に勤めているとのことだった。
 「漁師さん、あなたの腕の素晴らしさについては遠くウォール街でも名が轟いています。つきましては、ぜひともあなたと事業を共にしたいと思い、はるばるやって参りました。ひとつ、私の話を聞いていただけませんでしょうか?」
 男はそう言いながら、40ページあるプレゼンテーション資料を取り出して机の上に置いた。
 「我々の調査によると、あなたが取る魚の鮮度は素晴らしく、この小さな島で売っているだけでは、もったいない!私たちの国際的なネットワークを活かして、この島、そしてギリシアの国境を越えて、広く世界にあなたが取った魚を販売しようではありませんか!」
 「そのためには、まず生産性を上げなくてはなりません。あなたのような漁業従事者の生産性について、国際的なベンチマークを調査したのがこのグラフです。すでに平均以上の高さにあるのですが、より多くの人を雇い、新たな漁船を買い入れることで、規模の経済性を活かし、今よりもさらに数倍、生産性を高めることが可能になります!もちろん、資金は当行でご用意させていただきます」
 「拡大した業務の円滑な運営のためには、基幹システムへの投資も必要となりますね。他のプロジェクトでも一緒に仕事をした、優れたITコンサルタントを知っていますので、ご紹介します。また、あなたが家にいても常に漁の具合や日々の売上げ、利益動向が分かるように、モバイルのシステムも必要ですね」
 「この戦略が軌道に乗ったら、競合他社を買収しましょう!隣り島に、ちょうど同規模の業者がいます。彼らを取り込むことによって、間接部門を合理化し、新たな顧客も獲得し、もって収益率を高めていくことが可能です。もちろん、交渉から取引のクロージングまで、我々が一切サポートいたします」
 「これで売上げを大幅に伸ばし、成長していくことができたら、株式公開を目指しましょう!資金調達の円滑さを求めるならば、地元ギリシアの株式市場などではなく、米国ナスダックで!わが国では、大きな成長のポテンシャルを持っている企業へ投資したい投資家が山ほどいます。これによって、あなたは想像したこともないほどの富を手にするでしょう!」
 ここまで一方的に話をされたのち、漁師は一言言った。
 「それで、そのあとに、私はどうすればいいのですか?」
 「え?」
 それまで雄弁だった男は、そこで止まってしまった。まるで、その問いに対する答えは準備していなかったかのように。
 「えっと・・・。そうですね、それで富を手にしたのちは、引退されて大きな家でも買われたらいかがですか?毎朝ジョギングでもして。ここでしたら波打ち際が気持ちよさそうですね。それからご趣味に好きなだけ時間を使われて、優雅なブランチでもお仲間とご一緒にされて、ご家庭で好きなだけお子さんたちと遊んで、夜はほら、奥様を素敵なディナーにでも連れて行く。そんな、夢のような毎日を送ることができるのですよ!もう、毎日仕事に追われる必要はなくなるのです」
 「それだったら、今の私の生活と何も変わらないのですが・・・。途中、がむしゃらに働いたのは、何の意味があったのですか?」

=Unquote=

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