New Venture Challenge (2021)

今更感がありますが、一年生の春学期に参加したNVCについてまとめました。同じ記事がBoothの日本人サイトに寄稿される予定ですが、先んじてこちらで公開させて頂きます。

これまでぱらぱらと紹介してきたものを全体像が分かるようにまとめているので、NVCに興味のある方には参考になるかと思います。

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今回はBoothの看板授業/コンペの1つである、New Venture Challenge(NVC)についてご紹介させて頂きます。2年生に参加される方が多い印象ですが幸いにも、1年生の春学期に参加する機会を得ることができました。ここではそもそもNew Venture Challengeとはなにか、といったところから、全体の流れ、どういった経緯で参加することになったのか、そこで得られた学びまで網羅的にご紹介させて頂きます。

<New Venture Challenge(NVC)とは>

アントレ教育の世界で最も有名な教授といっても過言ではないSteven Kaplan 教授が発案したもので、1996年から始まり、今年は25回目の開催となりました。

NVCには書類審査を通過した合計30チームのみが参加することができます。書類選考を通過したチームは春学期を通じてNVCの授業を履修し、春学期を通じて審査員(ほとんどが起業経験者か投資家)に対して中間、期末と2回のプレゼンテーションを実施、2回目のプレゼンの評価をもとにNVC Finalに進むチームが決まります。

Finalには30チーム中、12チームのみが進むことができ、上位チームには賞金が授与されます。賞金の金額は毎年増加傾向にあり、今年の優勝チームには約67万ドルの賞金が授与されました。Finalの審査員にはブースアラムナイである中村幸一郎さん(Class of 2007)が参加されており、他にもMidas Listに名を連ねる著名キャピタリストが参加しています。過去のNVCの様子はYouTubeに投稿されているので、興味のある方はぜひご覧ください。

<全体の流れ>

時系列は以下の通りとなります。

  • 10-12月:チーム結成(Polsky Center主催のネットワークイベントや学生同士のネットワークを活用)
  • 1月:書類審査、結果通知(約10ページの事業計画を提出)
  • 3月:授業開始
  • 4月:1回目のプレゼン
  • 5月:2回目のプレゼン、Finalに進出するチームが確定
  • 6月:NVC Final

上記の通り、チーム結成から最終プレゼンまで半年以上かかるプロジェクトになります。チームによっては、2年間丸々かけて参加するチームもあるようです。

授業が始まるまでは、定期的にチームで集まってタスクを進めていき、ビジネスの完成度を高めていくことになります。

授業が始まると、毎週いくつかのチームが授業を履修している学生+20名近い審査員に対して事業のプレゼンを実施します。プレゼンが終わると審査員から各チームのプレゼンに対し、コメントや質問がぶつけられます。

授業外に教授や投資家と個別にセッションを設けることも多く、得られたフィードバックをもとに、Final進出に向けて試行錯誤を繰り返していくことになります。

<参加の経緯>

1年目の秋学期に”Entrepreneurial Discovery”という授業を履修し、その授業の中でレクリエーションスポーツの起業アイデアをグループでまとめていました。事業のアイデアを練っていく過程で、1つ上の在校生(Class of 2021)が似たようなアイデアで実際に起業していることが発覚。彼がNVCへの出場を検討中だったことから、授業で同じグループだったメンバーの一部が参加することになりました。動き出しとしては、上記スケジュールの通り、12月ごろから徐々に動き出し、年明けから本格的に始動、6月までフルコミットというスケジュールでした。

<得られた学び>

私の参加したチームは残念ながらFinalに進むことはできませんでしたが、ハードとソフトの両面から学びを得られた貴重な機会でした。ハードの観点ではこれまで触れたことのなかったSaaSビジネスにハンズオンで触れ、馴染みのなかった用語(恥ずかしながらLTV、CACといった単語を聞いたことさえありませんでした)への理解が深められたこと、ソフトの観点では自分への自信が得られたことが大きな収穫でした。

ハードの部分は、(たまたまですが)サマーインターン中にSaaS業界を担当する機会があり、NVCで業界のトレンドやビジネス構造を理解していたため、業務上のキャッチアップがスムーズになりました。SaaSビジネスそのものは今後も増えていくでしょうし、この機会に触れられたことは意味があったと思います。

ソフトの部分については、自分が参加したチームは約30人のメンバー(Booth生6人+残りはシカゴ大の学部生)がいる中で、インターナショナル生は自分一人だけという状況でした。スポーツビジネスの経験がなければ、商社で営業出身ということでわかりやすいスキルセットもなく、当初ファウンダーの2年生からは「こいつ、ほんとにチームに入れて意味あるのか?」という目で見られていたと思います(私だけチームに参加する前に、簡単なチャットを何度も設営させられ、秋学期のグループワークのチームメンバーに私のパフォーマンスのヒアリングをしていたようなので、疑われていたことは略間違いないです)。

そんな環境の中、何の知見もない領域でどう自分が組織に対してバリューを発揮できるのか、なにをすればチームのビジネス発展に貢献できるのかというのを必死に考えていた半年だったと思います。振り返ると最初の1-2か月は信頼関係を築くのに必死で、関係が構築できてからは、自分の発言や意見に積極的に耳を傾けてくれるようになりました。

またプロジェクトの過程でファウンダーと他のメンバーの間で衝突が起き、チームが崩壊しそうになった局面があったのですが、上手く両者を仲裁できたことは後々になっても非常に感謝され、少なくとも自分がいた価値があったのかなと思える経験になりました。

私自身は自分のアイデアで参加したわけではありませんが、卒業後すぐに起業を考えている人にとっては間違いなく有益ですし、私のようにスタートアップでの実務経験がない人であっても、探せばどこかのチームが入れてくれる可能性は大いにあると思います。人によって得られる学びや気づきは異なると思いますが、時間とエネルギーを投資する価値のあるプロジェクトだと思いますので、興味のある方には是非チャレンジして頂きたいと思います。

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