今回はMBAの価値の文脈でよく語られる、「ネットワーク」について書いていきたいと思います。
過去にこちらの投稿でまとめたことがあるのですが、当時は入学してからまだ数か月の段階でした。
今回は2年間のプログラムを終えた上で感じている、現時点での考えについて書いていきたいと思います。
結論としては、MBAのネットワークとは同窓であることが重要であり、直接的に知っているかどうかはそれほど重要ではない、との考えに至っています。
直接的に知っていなくても「XX校卒のMBAホルダー」という時点で、十分にネットワークを活用することが可能です。
わかりやすい例でいうと、三田会や稲門会が世代を超え、日本だけでなく海外でも活動しているように、同窓であればそのコミュニティーに入ることができ、その中にいることで得られる情報やベネフィットがあるということです。
日本に関していえば、受験中の予備校でのつながりや、留学前からMBAコミュニティーが確立され、そうした機会を通じて一定のつながりを作っていくことができます。
極端な話をすると、日本でキャリアを積んでいく場合、そちらのネットワークの方がよっぽど重要かもしれません。
そうした機会でできたネットワークにどこまでの意味があるのかはまた別の議論とし、直接的に知っていることがそれほど重要ではないとの結論に至った理由について解説していきたいと思います。
念のためですが、これは個人の価値観や学校の校風によって感じ方や得られるものが違うと思うので、あくまで一個人の見解としてご理解ください。
同級生とのネットワーク
MBAといえば在学中に同級生とのネットワークを作って、それを将来どこかの形で活かして、、という話を聞くことがありますが、それを言っている人がどこまでその「ネットワーク」を活用しているのかは極めて怪しいと思ってます。
2年間のプログラムを通じ、在学中にできるMBAのネットワークは非常に表層的であるということを身をもって体験しました。
MBA中に友達を増やす方法として、パーティー、旅行、グループワーク、就活などが挙げられます。
前者2つは基本的に遊び友達であり、インターナショナル生として本当の意味でそこに深く入っていくことは容易ではなく、またそこから深い関係になることはさらに困難を極めます。
後者2つは成績やキャリアに影響を与える取り組みなので、場合によっては戦友のようになり、深いつながりに発展するケースがあります。
自分の友人関係をみても、卒業後も連絡をとりそうなのは後者2つでつながった友人ばかりで、前者2つの友人は今後連絡を取ることもないだろうなという人がほとんどです。
先日、同級生で卒業してからも連絡を取りそうな人をリストアップしてみたのですが、せいぜい10人くらい(日本人を除く)でした。
現時点でこの数字の少なさなので、年数が経過すると徐々に減っていってしまい、いずれはゼロになってしまうかもしれません。
アラムナイとのネットワーク
卒業から数年たっているアラムナイや、偶然の機会に話した他校のMBAホルダーから聞いた話を総括すると、多くの知人とは卒業から数年すると連絡を取らなくなり、その後SSNなどでつながっているだけ、という関係になるのが太宗のようです。
アメリカ人でさえそういっているのを聞くと、日本に帰る人がどこまで同じ学校の同級生のMBAネットワークを活用できているのかは甚だ疑問です。
もしかすると、たまたま在学中に深い関係になっていた友人と業務上つながることがあったり、知見を借りるためにアドバイスをもらうことがあるのかもしれません。
ただそうした事態が発生する極めて低い蓋然性のために必死にネットワーキングをするというのは非常にコスパが悪い行動な気がしてなりません。
アメリカ就活をして学んだこととして、助けてくれる人は直接知っているかどうかなんて関係なくサポートしてくれます。
就活関連で全く知らないアラムナイにLinkedInで連絡をすると、多くの場合で返事が返ってきました。
毎年ブースはフルタイムプログラムだけで600人強が卒業していきます。これが何十年も繰り返されているわけなので、必死に探せばどこかでつながりを見つけることは可能です。
わずか600人の同級生のネットワーク(しかも全員直接知っているわけではない)よりも、アラムナイのネットワークを活用することの方が確実に多いと思います。
MBAのネットワークの価値
ここまで自分の経験と見聞きした話を紹介しましたが、MBAのネットワークは入学した時点である程度達成されており、在学中に将来のために無理にネットワークに勤しむ必要はないのではないかというのが結論です。
これまでの人生を通じ、狭く深くの人間関係を重視してきたので、表層的な人間関係の構築が得意ではないということもこうした感想を持った理由かもしれません。
もちろん友達が多ければそれだけ充実した学生生活になることは間違いないので、他にやりたいこととのバランスを取りつつ、優先順位を決めて日々を過ごしていくことが満足のいく、有意義なMBA生活を送るために肝要だと思います。